2009年12月

今年1年のお礼

 今日、当社は仕事納めの日となっています。2009年も早いものでもう暮れようとしています。つくづく思うのは、月日の経つのが早い、ということ。しかも年を重ねるごとに、加速して来ていると感じるのは私だけでしょうか。今年もいろんなことがありましたが、前を向き続けて走り続けてきたせいか、どうも過去を忘れてしまっているような・・・・。それでも一つの区切りとして振り返り、改めて御世話になった方に感謝の気持ちを表したい、と思っています。

 

  まず今年の初めは昨年秋からの深刻な金融危機がどこまで自分達の経済活動に影響を及ぼすのかが把握できなくて、非常に不安の中でのスタートだったことを思い出します。周囲の企業では、やれ受注が昨年の50%だの、やれリストラが行なわれただの、「こりゃ、大変なことだ!」と思ったのを覚えています。しかし新年の社内報で私は「こういうときこそ自分達がやるべきことを、やりぬくことだ」と書かせてもらいました。そのやるべきこととは、ムダの徹底排除と穀物の感動的価値の創造、というこれまでもずっと言ってきたことなのですが。結果的には我々食品業界には「受注の激減」と言う大きな波は襲ってこなかったものの、その代わりに「低価格」という波が襲ってきた、と言う感じでしょうか・・・。

 

 また4月の社内報を読み返すと、また新しい不安が襲ってきていたことがわかります。それは当社の重要な原料である国内産大麦の30%値上がりと、輸入小麦の自由化の問題です。どちらも非常に当社にとっては大きなインパクトをもたらすものであり、これはまだ解決されたという課題ではないのです。むしろ来期以降も経営に大きな影響を与えるものとして、心して対応していくべき課題、と言う感じでしょう。スーパーさんの低価格志向と、主要原料高という環境にどのように対処していくか、これはやりがいがありますね。

 

 また今年は「穀物の棚」という提案を秋口にさせていただきました。雑穀をごはんに混ぜて食べていただく以外にも、おかずに混ぜて食べてみませんか?という提案です。雑穀市場もひところの勢いがやや弱まってきたことを感じます。もちろんごはんの中に雑穀、大麦を混ぜて食べていただく努力も一層していきますが、生活の中にもっとひんぱんに穀物を取り入れてもらうためにおかずにもおいしいですよ、という提案です。例えば挽き肉の代わりにタカキビという雑穀を使ったり、サラダに雑穀をトッピングしたり、と言うことなんです。外食や、お弁当でこういうメニューを実際に食べてもらうことも重要だと思っています。

 

 しかし私としてこの1年で一番変化のあったことといえば、社員の皆さんの働きぶりだと感じています。これまでも当社の社員は「真面目」である、と思っていましたがここに「自発性」が加わってきたと言う感じです。仕事の楽しさは自分からやることだと思っています。改善活動においても、CFT活動においても、もちろん日常業務においても、以前に比べ「自ら動く」社員が増えてきているという手ごたえを感じています。この動きをもっと広げ、もっといろんな人が、もっと強く、大きくそういう活動を進めてくれるように私もサポートしていくことが私の重要な仕事だと思っています。

 

 でも一方で「いい気になってはいけない!」ということも強く感じています。実はあるお客様から「はくばくの営業マンは最近、高飛車だ!」と言われました。実に残念でしたが、これは社長の経営姿勢に問題があるのだと反省しました。ブランドとして認識され始めているからこそ、これまで以上に謙虚に振舞い、地道に行動しなければならないのです。まず私が自分の姿勢を改めて、さらに機会あるごとに社員にもこのことを伝えていかねば、と思っています。

 

 この1年、はくばくの活動に対して、本当に多くの方々の御世話になりました。まずは当社の商品を買っていただいているお客様、社員の方々、お取引先の皆様、仕入先の皆様、ヴァンフォーレ甲府の関係の方々、地元の方々、本当に、本当にありがとうございました。来年も「もっともっと良い会社になる」ことを社員の皆と追いかけていきたいと思っています。どうぞ、みなさま良い年をお迎えくださいますよう心よりお祈り申し上げます。

人間尊重の経営

 先日から、当社の経営指導をしていただいている鈴村先生からお借りしている、「NPS百話」という本を読んでいます。その本の著者は鈴村先生のお父様であり、いわゆるトヨタ生産方式を実際に確立されたとされる鈴村喜久男さんなのですが、そのお父さんが立ち上げたNPS研究会(New Production System研究会)のさまざまな機会にお話しされた話をまとめたものです。(残念ながら非売品です)NPS研究会はいわゆるトヨタ生産方式を世に広めるために作られた組織だと理解しています。しかしそのこの本の内容は、トヨタ方式云々を超えた、経営の本質について書かれた本だと感銘を受けながらじっくり読んでいるところです。

 

 鈴村氏は非常にユーモアもあった方のようで、さまざまなお話はたとえ話を使った面白い話として書かれています。たとえば「競馬必勝法」というお話があります。100%当たる馬券を買う方法がある、それは何か?という話です。答えは「馬がゴールに入ってから買えばよい」ということなのですが、この面白さはわかりますか?実際にはゴールに入ってから馬券は買えないけれども、経営で言えばモノが実際に出荷されてから作れば、何がいくつ売れるかという予想を当てようとする努力は要らないし、不必要な在庫もたまらないよ、という比喩なのです。これがいわゆる後引き生産方式の考え方をうまくあらわしているんです。

 

 うまく当て字を作るのも上手です。最近、技術が大事だ!、というけれども本当に技術がわかっているのか?良い機械を買えば技術が高まると思って上司を説得する「欺(あざむく)術屋」。機械メーカーの話をそのまま鵜呑みにして説明をする「技述(のべる)屋」。良い機械を入れたは良いが、使いこなせずチョコチョコとまってしまう「戯(たわむれ)術屋」。そんな偽技術者ばかりではないか、とおっしゃっています。耳の痛い、痛烈な批判をさらりとしています。 

 

 その中でも私がもっとも感銘を受けたのが、「人間尊重」というお話でした。世の中には実に多くの会社が「人間尊重の経営」というものを掲げて経営されています。しかし何をもって人間尊重というのか、このあたりの突込みが足りないように思っています。鈴村氏は「人間にそれぞれ与えられたかけがえのない時間。たった80年そこそこの時間の中で、それを無駄に使わせることこそ、人間尊重をしていないことになる」とおっしゃっています。つまり例えば、工場の人々が一生懸命作った製品が見込み違いで不良在庫になり、最後に廃棄されることになった場合。これはその工場の人の貴重な人生の時間を無駄にしたことになる。だからこういう在庫は〇恥というマークを貼ったといいます。

 

 人間尊重とは、一人ひとりの「時間を大切にしてやる」ということであり、「無駄な時」を費やさせない「周りの心配り」、何よりもその人の仕事の結果が「世のため人のためになるように」「作った物がチャンと生きるように」してあげることだと私は信じているし、そのために私は今の仕事を選んだ。(原文のまま)-という考えに非常に共鳴しました。そしてその責任は作らせた側、つまり経営者側にある、ということなのです。限られた人生の一コマを無駄に費やさせたということは、その人の生き様を冒涜しているに他ならず、かけがえのない時間を「収奪している」といっても過言ではないと思う、とおっしゃってもいます。他人の時間を収奪する、なんて考えたことはなかったのですが、その通りだ、と思いました。

 

 私も人間を尊重したいと思ってこれまで経営をしてきました。そして今回、この鈴村氏の著書に出会って、「そういうことか!」と目からうろこが落ちた思いです。最近当社でも「ええー、そんなレベルの低い仕事が行われていたの?」というようなことが判明しました。以前であればまず怒りがこみ上げたと思うのですが、今回はそういう惰性の仕事を毎日させていたことを申し訳なく思いました。きっとその社員たちは毎日つまらないと思う仕事を、ただ単にこなしていただけだと思うのです。限られた人生の時間をより有意義なものにするために、経営者としてそれを導かねばならないと思ったのです。また例えそれが厳しい仕事であっても、より社会に役に立つためならば、またその社員の成長につながることならば、それはその人の人生に貢献できる仕事だと思うのです。

 

 社員が費やした時間がより社会に役に立つように、より世の中から感謝されるような、そしてその社員自身の成長につながるようなそういう仕事をしていってもらうために、私はこれから経営をしていきたいと思っています。

勝ち点1点、足りず・・・

 今日、今年のJ2の全日程が終了した。我がヴァンフォーレ甲府は最終戦を見事勝利で飾ったが、3位の湘南ベルマーレが3-2で水戸を破ったため、勝ち点で1点足りず、J1昇格を勝ち取れなかった。前半早々にヴァンフォーレ甲府はいきなり2-0でリード。一方、湘南は0-2でビハインドという展開に小瀬は沸き立ったが・・・。3月から51試合。本当に山あり谷ありを乗り越えて、最後の最後まで目標のJ1昇格を争ったが、残念ながらその願いはかなえることができなかった。

 

 この日は晩秋の雨が降りしきる寒い1日だったが、熱心なサポーターはヴァンフォーレのJ1昇格を信じて13000人以上が集まった。いつも思うことだが、このサポーターの情熱は本当にすごい。間違いなく選手の背中を押していると思う。その甲斐あって今日は試合開始から早くも2点をあげて、サポーターを喜ばせてくれた。しかし・・・、しかし・・・。湘南の結果を聞くまで水戸が同点に追いついてくれることを信じていたが、その願いはむなしくJ1昇格の夢は絶たれた。試合直後の勝利インタビュー・金選手のコメントは悔しさで言葉にならなかった。金選手の無念さが伝わってきた。サポーターに対して、一緒に戦ってきた仲間に対して、そして自分に対して本当に悔しかったのだろう。

 

 51試合の長丁場を戦った結果としての、この勝ち点差で1という数字。確かに小さな数字であるが、結果としては大きな違いがある。一方は来期はJ1、しかし一方は来期もJ2。残酷なものである。しかしこれが勝負の世界なのだろう。この1点を小さいと考えてはいけない。やはりこの1点をひっくり返すことができなかったのは、実力であると考えねばならない。最後の最後までヴァンフォーレのJ1昇格を信じていたが、辛いけれどもやはり今年はそれを適える何かが足りなかったと考えねばならないのだろう。

 

 しかしこの勝ち点差1でJ1昇格を逃した、という事実はこのクラブにとって大きな歴史を刻むものだと考えている。ある目標を願って、みんなで努力して、必死で戦って、みんなで応援して、結果が伴うのが一番ハッピーなことである。しかし今日のこの結果は絶対に無駄ではないはずだ。これからも続くであろうヴァンフォーレの歴史に、私は大きな意味のある歴史を刻んでくれたと思っている。これは勝ち点が1点足りなかったのは自分たちの責任である、と正面から受け止めることによって次の大きな飛躍につながると信じているからだ。

 

 この1年間の選手、監督、フロント、スタッフ、サポーター、そしてヴァンフォーレ甲府に関係するあらゆる方々の尽力に改めて敬意を表したい気持ちでいっぱいだ。本当に良くやってくれたと思う。結果は今日出てしまったが、意味のある歴史は刻んだ。この悔しさを決して忘れることなく、来期こそ歓喜の瞬間を味わおう!私は今日試合の途中、雨が降りしきる小瀬でサポーターの声を目をつぶって聞きながら、「本当に良いクラブに成長している・・・」と幸せな気分を味わった。この山梨・甲府という地に、小さいけれども地元に本当に愛され、ひたむきにサッカーに取り組むチームが着実に成長していることは何よりの喜びだ。まだまだこのチームは成長する。そのための意味のある大きな1日であったと私は確信している。

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プロフィール

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株式会社はくばく
代表取締役社長
長澤重俊

1966年ひのえうま生まれの43歳。
東京大学ラグビー部卒。(本当は経済学部)
住友商事を経て1992年はくばく入社。
気合と体力で全国を駆け回っています。
ヴァンフォーレ甲府の躍進を心から期待しています。