山梨県米穀のお仕事

 昨年の6月から山梨県米穀というお米の卸さんの社長をやり始めたことは1年前、このブログで紹介しました。それから1年経ちましたがお米のビジネスはやはりこれまでやってきた大麦や小麦、雑穀、そばと言う他の穀物と勝手が違うなあ、と思っています。というのは、私の信条として「最終的な消費者に満足してもらう」ということに焦点を当てて、商品、サービスを供給することが一番大事だと思っているのですが、これだけでは駄目なんですね。

 昨年の秋には急に34万トンというお米が政府に買い上げられ、一気に市場から隔離されました。結果として当然仕入れ価格は高騰し、今はちょうど新米の出回る端境期ですがこの時期に去年のお米が仕入れにくくなる、という異常な事態になっています。本当は豊作なのに、政治力で市場から相当量のお米が隔離されてしまったために、逆のことが起きてしまっているのです。だから我々のような中小の卸では、仕入れに大変苦労している、と言う状態です。全くおかしな話だと思いませんか?

 こういう政治的な動きを考慮しないとビジネスとしてうまく行かないんですね。私もだからこれは仕入れの力をもっとつけなければいけない!とこの状況打破のために考えました。そう、皆が考える「いかに安いお米を上手に仕入れるか?」という発想です。でも行動を起こしてみて、徐々に気付いてきました。これでは勝てない、と。結局、こういう仕入れの不安定さを安さ競争で乗り切ろうとすると、結局お客様にも「価格」が売り物の会社になってしまう、ということです。

 でも扱い量が5000tにも満たない(だってお米の流通量は800万トン/年以上ですからね!)小さい卸が今さらそういう安さ競争をしたって勝ち目はないですよね。いかに独自の価値を身につけるか、ということがやっぱり大事なんだ、と改めて認識しました。ではその独自の価値とは何か、と言うことを考えてみて方向性は決まりました。それは「日本人が心から満足できる、産地の思いのこもった本当に美味しいお米をお届けする」と言う方針です。美味しさって当たり前のように思うでしょうが、これが食における絶対条件です。

 そしてお米はやっぱり産地は重要な価値だと思いました。でもそれは有名、と言うことではなく「真剣に、志を持ってお米を作っている産地」を我々の力で紹介していくことだと思っています。この価値を本当に創りこむために我々はもう一度スタートを切りたいと思います。そして当社のブランドをどうしようか、と考えたときに前社長の河西さんがとても良い切り口を提案してくれました。それは「絆(きずな)」というブランドです。

 河西さんいわく、「このところの世知辛い事件が続く中で、もう一度美味しいお米を皆で食卓で囲んで家族の絆を取り戻して欲しい」ということでした。「それは良い!」と思いました。そして私はさらに「農家と消費者の絆を結びつけるのも山梨県米の仕事ではないだろうか」と言いました。この家族の絆と、農家と消費者の絆、という両方を結びつけるものとして山梨県米が本当に美味しいお米を提供したい、と思ったのです。実は残念ながらこの「絆」というブランドは他社が使用しており、使えない、と言うことになりそうですが、この考えは絶対に山梨県米の中心に据えていこう、と思っています。

 私は相場に左右されることなく、お客様にとっての価値でお米が売れる世界が少しでも広がるためにこの山梨県米を経営していきたいと思っています。「絆」なんて大げさな?ブランドが付けられる食品なんて、お米以外無い位本当は日本人にとって大切な大切な食べ物なのです。それが余りにも軽く、余りにも無関心に扱われているこの世の中で少しでもこのお米の価値に気付いてもらって、それがさらに農業への応援につながるような仕事をできればこんなに意義のあることはないのでは、と思っています。今日はちょっと堅すぎましたね・・・。

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コメント

始めまして。オーガニックナビ株式会社の若原さよと申します。

農家と消費者の絆を結びつける、というお考えにとても感動しましたので、コメントさせていただきました。食の生産現場と消費者が近づくことは、未来の子どもたちに豊かで気候風土に合った食を残すことにつながっていくと思います。私も、微力ながら、消費者がもっと「食」やその先にある農業に関心を持つきっかけ作りをしたい、とセミナー等を行っています。

またブログを拝見させていただきます。
ありがとうございました。
若原さよ

若原さん、コメントありがとうございます。若原さんも農家と消費者を結びつけるお仕事をきっとされているのですね。私たちはまだ実際にはできていない状態です。これからなんです。きっと若原さんはそれを実践し、その中で悩みもあることでしょう。同じ思いをもつ仲間として、ぜひそういう悩みや喜びもまた教えていただけたら、と思います。今後ともよろしくお願いいたします。

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プロフィール

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株式会社はくばく
代表取締役社長
長澤重俊

1966年ひのえうま生まれの43歳。
東京大学ラグビー部卒。(本当は経済学部)
住友商事を経て1992年はくばく入社。
気合と体力で全国を駆け回っています。
ヴァンフォーレ甲府の躍進を心から期待しています。