人生の師を持つってことが大事だ、とある先生から教えられ、そうだろうなあと思っています。しかし正直言うと、まだこの方が人生の師だ!と心を決めた人はいないのが現状です。でも実は以前から狙っていた(失礼ですよね。)方がいたのですが、それがヤマト運輸の元社長であり、かの宅急便を世に送り出した小倉昌男さんです。残念なことに今年の6月30日に80才の生涯を閉じられました。ご冥福をお祈りするとともに、もう一度これを機会にその偉業を勉強しなおしたいと思いました。日経ビジネスによると、ヤマト運輸退職後は銀座に小さな事務所を設けて、いろいろな人とお会いしていたとか・・・・。それならば私も一度伺って直にお話をお聞きしたかった、と自分の行動力の無さを悔いた次第。
その小倉さん自身が書かれた本が1999年に出版された『経営学』(日経BP社)なのですが、これをもう一度本棚から引っ張り出して、じっくり読み直しています。
小倉さんのすごいところは、非常に世の中の変化を大きな視点から眺め、その変化に対してどのように自社として先取りするか(対応するか、ではなく)という行動を起こしている、と言うことだと思いました。戦前日本一のトラック会社だったがゆえに、その成功が逆に戦後の長距離輸送が鉄道からトラックに変わる潮流に乗り遅れたという反省が、その後の世の中の変化への執念とも言うべき情熱をもった観察につながったのだと思います。そして近距離、小口貨物への可能性を感じ取って、それをアメリカ・UPSのヒントも得て、最終的には宅急便に昇華させたのだ、と思いました。
そして私が感銘を受けたのは、その行動へのプロセスが非常に論理的である、ということです。小倉さんはこの本の中で「経営は考えることだ。」と喝破していますが、正にそういうことなんだ、と私も教えられました。考えて、考えて、また考えて・・・。他人がぼんやりと世の中を眺めているときに、この変化はどういう意味なのだろう。どういうことがこれから起きるのだろう。そしてそれを自社の経営に取り込むにはどうしたらよいのだろう。それは自社が勝てる分野だろうか。今のままでは駄目ならば、どう変化したら良いのだろう。ーといった問いを必死に考え、それを最後は「これならば絶対にいける!」という確信にまで詰めていくのだと思います。例えば、物流ということを小倉さんは、根本から考えています。つまり物流とは、輸送、保管、荷役、包装、加工、情報である、と言い切っています。この断言の裏にも、膨大な時間の思考があるのでしょう。そこからスタートして、それぞれのプロセスに対して思考を加えています。自分の業界をこうやって分析していることに、凄みを感じました。振り返って私は・・・・?全く、お話になりません。
もう一つ驚嘆すべきは、その信念に基づいた行動力です。たとえ考え抜いて出た確信といえども、将来はわからないわけですから、その確信に向けて行動することには当然不安もあるでしょう。何しろ、宅急便を見ても半端な投資、方針転換ではないわけですから・・。しかし小倉さんは果敢にその挑戦を成功させました。揺らぐことのない信念と、その達成に向けた行動(変化を起こす)は、経営として成功の必要条件なのでしょう。先日お会いしたユニチャームの高原さんとも共通するなあ、と思いました。要するに世の中の大きな変化を自分の頭で考えて、それを信念まで高めて、後はそれを信じて一気に攻める。そしてその大きな変化が起きたときには、その企業は1000億円規模の商売ができるようになっている・・そんな流れを両方に見た思いがします。
今日はちょっと難しい内容になってしまいましたかね。実はまだこの「経営論」、読み直し始めて途中なので、もう一度よーく読んでみます。ゆっくり読んでいくのが楽しいんです。しかし本当に小倉さんは、良く勉強していますわ。私もいい気にならずに、もっと勉強、そして考えるってことですね。



コメントを書く